森法律事務所(愛知・名古屋の弁護士)

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倒産問題 Q&A For Coporate Client

  • 倒産をめぐる諸問題は、企業の規模、業種・事業内容、従業員・債権者の数、債権額、就業規則等労働契約の内容、各債権者や取引先との契約内容、企業の有する財産の内容、保証人の有無やその内容等、各企業の事情によってそれぞれ異なりますが、以下には、一般論でお答えできる範囲のQAをいくつかご用意しました。企業の実情に応じた具体的なご質問については、当事務所での法律相談をご利用ください。

    総合

    まもなく資金ショートするかもしれません。会社を再建するか清算するかをどう判断したらよいでしょうか。

    経営者であれば、「できるなら会社を再建したい」という思いが強いと思います。しかし、会社を再建するには「人・物・金」が必要です。経営者や役員・幹部にやる気があるか、従業員は協力してくれるか、取引先は今後も取引を継続してくれるか、事業を継続するために必要な資産(店舗、工場、設備など)は保持できるか、リース物件や元請等からの貸与品が引き上げられることはないか、事業継続に必要な資金はあるか(銀行預金は通常、借入金と相殺されます。申立後のキャッシュフローがどうなるかが重要です)これらの点を十分に検討しなければなりません。ただし、すべてが満点でそろっているような場合はまずないでしょうし(そうであれば倒産の危機には至っていないでしょうから)一部弱い点があっても他の面で補完し対応することは可能でしょう。工夫しながら再建に必要な最低限の「人・物・金」を用意できるかを考え、開始決定後は営業黒字の状態で事業を継続することが可能と判断できるなら再建(再建型の任意整理、民事再生、会社更生等)を選択することができます。残念ながら、事業継続は困難との判断であれば清算(破産、清算型の任意整理等)を選択せざるを得ません。

    会社が倒産すると経営者や親族が負っている保証債務はどうなりますか。

    会社が民事再生、破産、任意整理などを行った場合、通常、主債務である会社の主務について期限の利益を喪失することになりますので、その結果、保証人に対して保証債務の履行(弁済)が求められることになります。従って、保証債務の履行(弁済)ができない場合には、保証人についても民事再生、破産、私的整理などの債務の処理をする必要があります。

    倒産するにあたって費用はどのくらいかかりますか。

    民事再生、破産、任意整理(私的整理)などに必要は費用については、「費用について」をご参照ください。

    民事再生

    民事再生はどのような場合に申し立てることができますか。

    民事再生の手続の申立は、

    • (1) 会社に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき
    • (2) 会社が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき

    に申し立てることができます。

    「破産原因となる事実」とは、会社が債務超過または支払不能の状態にあることをいいますが、民事再生は、現時点で債務超過や支払不能の状態になくとも、このままいけば、手形が不渡りになるおそれがあるという状態でこの手続をとることによって、破産に至らせないで、経済的に窮地に陥っている会社の事業を再生する手続なのです。

    民事再生の手続を申し立てると経営者はどうなりますか。

    民事再生手続は、破産手続とは異なって、従前の経営者の経営権(業務遂行権、財産管理処分権)を奪いませんので、申立や開始決定があっても経営権は残ります。会社の再建のために陣頭指揮をとることになります。ただし、再生申立に至ったことの経営責任を明らかにするために自ら経営者を交替する場合はあります。また、再建のスキームとしてスポンサー会社に事業譲渡する場合などは、通常、従来の経営者は退陣することになります。

    民事再生の手続の流れ(スケジュール)を教えてください。

    名古屋地裁の運用では、通常、申立があると裁判所によって直ちに弁済禁止の保全処分、監督命令が発令され、申立から2週間後までに開始決定の発令、14週間後に再生計画案の提出、22週間後に債権者集会の開催というスケジュールを予定しています。ただし、これは標準的なスケジュールであり、個々の事案の事情によってスケジュールは変更されます。

    民事再生の手続の流れ(スケジュール)

    再生債権とは何ですか。再生手続においてどう扱われますか。

    再生債権は、再生手続の開始前の原因に基づいて発生した財産上の請求権をいいます。開始前の取引に基づいて発生した買掛金、開始前に借りた借入金などです。再生債権は、民事再生の手続申立直後に発せられる弁済禁止の保全処分によって、債権者に弁済することが禁止されます。また開始決定がでると、その効果として、再生債権を弁済することが禁止され、いわば一時棚上げの状態になります。そして、会社が作成する再生計画案において、再生債権をどのように弁済するか(例えば10%を5年で弁済しその後は免除を受けるなど)その方法を策定し記載します。その内容が、債権者の決議を経て裁判所に認可されると、会社は再生計画に基づいて弁済をすることになります。

    従業員の給料等は、民事再生手続でどう扱われますか。

    開始決定前の未払給料や開始決定前に解雇して発生した退職金は、民事再生手続の開始前の原因によって発生した債権ですが、再生債権にはならず、一般優先債権となります。また、開始決定後に発生する給料や退職金債権は、共益債権となります。一般優先債権、共益債権のいずれも、再生債権のように棚上げされることはなく、再生手続によらずに、随時弁済することになります。

    税金や社会保険料等は、民事再生手続でどう扱われますか。

    税金や社会保険料等の租税債権は、開始決定前の原因によって発生したものなら一般優先債権となり、開始決定後の租税債権は共益債権となります。いずれも、再生債権のように棚上げされることはなく、再生手続によらずに、弁済していかなくてはなりません。

    民事再生手続では、抵当権が設定されている不動産はどうなりますか。

    会社の財産(不動産、動産、債権など)に抵当権(根抵当権)、質権、商事留置権、特別の先取特権を有する債権者は、別除権者として、再生手続外でその権利を行使(担保権の実行)することができます。例えば不動産に抵当権を設定している抵当権者なら、競売を申し立てることができるのです。別除権者の担保権実行を回避するために、別除権者と別除権協定を交わしたり、裁判所に申立を行って担保権実行手続の中止命令を出してもらうという方法があります。

    別除権協定とは何ですか。

    「Q7」で述べたように、抵当権等の別除権者は、再生手続が開始された場合でも、担保権を実行することができますが、それでは、会社の財産を利用できなくなって会社の再建が困難となる場合があります。そこで、再建に必要な財産の使用を認めてもらうこと等を目的として、会社が別除権者と結ぶ協定を別除権協定といいます。

    再生計画、再生計画案とは何ですか。

    再生計画とは、会社をどのように再建させるかその方法を定めたものです。

    民事再生手続において、会社は、

    • (1) 再生債権者の権利の変更の内容
    • (2) 共益債権、一般債権の弁済
    • (3) 知れてる開始後債権の内容

    を定めた再生計画案を作成して、裁判所に提出します。

    (1)の権利の変更条項には、再生債権について、どのような減免や期限の猶予によって変更してもらうかを記載します。この再生計画案が、債権者集会において可決され、裁判所によって認可されると「再生計画」となります。 なお、債権者も、会社が作成する再生計画案の対案として、自ら再生計画案を作成し裁判所に提出することができます。

    再生計画はどうやって可決・認可されるのですか。

    会社が作成した再生計画案は、債権者集会において、

    • (1)出席した議決権を有する債権者の過半数の同意(頭数要件)
    • (2)議決権を有する再生債権額の総額の2分の1以上の同意

    の(1)(2)両方を得ると可決されたことになります。

    再生計画案が可決されると、裁判所は、

    • (1) 再生手続または再生計画が民事再生法に違反し、不備を補正できず、違反の程度も軽微でない
    • (2) 再生計画が遂行される見込みがない
    • (3) 再生計画の決議が不正の方法によって成立した
    • (4) 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反する

    のいずれにも該当しない場合には、再生計画認可の決定をします。

    民事再生手続が終了するのはいつですか。

    民事再生手続は、裁判所の終結決定又は廃止決定によって手続が終了します。

    終結決定は、監督委員が選任されている場合は、

    • (1) 再生計画認可の確定日から3年間
    • (2) 再生計画の遂行完了

    のいずれか短い期間の経過後に出されます。

    再生手続の廃止とは何ですか。

    再生計画の廃止とは、再生手続開始後に、手続の目的を達することがないまま終了することです。

    民事再生手続の途中において、

    • (1) 再生計画案の作成の見込みがない
    • (2) 再生計画案が定められた期間内に提出されない
    • (3) 再生計画案が否決された

    場合などに、裁判所は廃止決定を出します。

    破産

    破産した場合、従業員の未払給料はどうなりますか。退職金はどうなりますか。

    破産手続において、開始決定前3か月分の従業員の未払給料、退職前3か月間の給料の総額に相当する額の退職金は、財団債権となって、一般の破産債権に対する配当手続を待たずに、破産管財人によって随時弁済されます。それ以外の未払給料(開始決定の3か月前より以前の給料など)や退職金のうち給料3か月分を超える部分は優先的破産債権となり、他の財団債権(税金などいろいろなものがあります)の弁済の後、配当手続によって配当されます。なお、独立行政法人労働者健康福祉機構の「未払賃金の立替払制度」について「Q3」もご覧ください。

    破産するにあたって、事前に従業員を解雇する必要がありますか。

    破産を選択する場合は、いずれは事業を廃止することになりますので、従業員との雇用契約は必要がなくなります。また、雇用契約を継続していれば賃金が発生しますし、破産管財人が解雇した場合の解雇予告手当の法的性質の問題などがあり、破産の場合は、従業員を解雇したうえで開始申立を行うのが一般的です。ただし、従業員を解雇するにあたっては、破産申立の事実だけでなく、従業員の未払給料や退職金がどうなるか、雇用保険・社会保険の手続をどうするかなどの説明をする必要がありますし(Q4)、また従業員に説明すれば破産申立の事実が事前に他の債権者にも伝わることになります。そのため、従業員を解雇するにあたっては、弁護士に解雇の時期や方法等を相談したうえで慎重に行う必要があります。なお、破産手続において、破産管財人が管財業務を行ううえで元従業員の協力が必要な場合もあり、その場合は、破産管財人が改めて一定期間その元従業員を雇用することもあります。

    未払賃金の立替払いの制度とは何ですか。

    未払賃金の立替払制度とは、企業倒産によって賃金が未払のまま退職した労働者に対し、未払賃金の一部を立替払いする制度です。

    • (1)立替払いの対象となる賃金は、
      労働者の未払賃金(労働者でない役員報酬は対象にはなりません)
      退職日の6か月前から立替請求日の前日までに支払日が到来している未払賃金
      毎月の給料と退職金が対象となりますがボーナスは対象になりません。
    • (2)立替払いの額は、未払賃金総額の8割ですが、退職日の年齢により限度額が定められています。
    • (3)破産手続開始後に、所定の請求書に破産管財人の証明印をもらって、独立行政法人労働者健康福祉機構に対して請求手続を行います。

    破産する場合、従業員の雇用保険、社会保険の手続はどうしたらよいでしょう。

    破産手続の申立に際して、従業員を解雇した場合、会社都合退職として、その翌日からの失業保険の給付を受けることが可能になります。そのため、会社は解雇にあたり、速やかに、従業員に対して離職票を交付する必要があります。社会保険については、解雇の翌日から被保険者の資格を喪失します。そこで解雇にあたっては、従業員の被保険者証カード・被扶養者用カードを回収し、日本年金機構に提出する必要があります。従業員は、社会保険を任意継続するか国民健康保険に切り替え(加入)手続を行う必要があります。当事務所ではこれらの処理についても適切にアドバイスしますので安心してご相談ください。

    破産を申し立てると経営者はどうなりますか。

    破産手続きの開始決定が出ると、代表者や取締役らの役員と会社との間の委任契約が終了し、(代表)取締役でなくなります。開始決定によって、それまで代表者が有していた会社の財産についての管理処分権は、破産管財人に専属しますので、以後は破産管財人が財産を管理します。役員らには、破産管財人に対して説明義務があります。なお、経営者らが会社の債務について保証人になっていた場合については「総合Q2」をご覧ください。

    取締役の一人が社外の取引先の役員なので、破産申立の取締役会を開くことができません。その場合でも破産の申立てはできますか。

    破産手続の申立には、裁判所に、

    • (1) 破産申立を決議した取締役会議事録または
    • (2) 全取締役全員の意見一致を証する書面

    を提出する必要があります(名古屋地方裁判所本庁の運用)。

    従って、取締役会を開催して破産手続開始の申立することについて全員一致の決議を経るか、あるいは取締役全員が同意したことを明らかにする書面を作成する必要があります。しかし、中には、取締役の一人が社外の取引先の役員や従業員であるために、事前に破産を申し立てることを説明することが難しい、あるいは取締役の一人が海外にいるといった事情によって、取締役全員の同意を得ることが難しい場合があります。その場合には、取締役の一人(例えば代表取締役の社長)が、個人で、会社の破産手続の申立をすることができます。これを「準自己破産」といいます。準自己破産の場合は、破産原因(債務超過、支払不能)の事実があることを疎明しなければならないのですが、逆に言えば、その疎明をすれば足りるということですので、取締役全員の同意が得られなければ破産手続の開始申立ができない訳ではありません。

    迷惑をかけてしまう債権者の方に、会社の資産を代物弁済したいのですが。

    少しでもかける迷惑を少なくしたいというお気持ちは理解できるのですが、破産手続は、すべての債権者に対し、会社の財産を公平に分配する手続(但し法律が定めた優先順位はあります)ですので、一部の人だけが得をすることは認められないものになっています。具体的には、ご質問のように、破産が回避できない状況でその事情を知った取引先に、代金の代わりに会社の資産を渡した場合、破産手続開始後に破産管財人によって「否認権」が行使されることになります。その場合、破産管財人は取引先に対し、代物弁済した物の返還を求め、場合によっては裁判に発展することもあります。かえって迷惑をかけてしまうことにもなりかねませんので、否認権が行使されるような行為は避けるべきでしょう。どのような行為が否認されるかは、法律の規定が複雑で、ここで簡単に説明することは難しいのですが、おおざっぱには言えば公平の原則に反する行為かどうかを考えていただければと思います。

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