- 破産手続がどうやって進んでいくのかを知りたい。
- 手続きが終結するまでどれだけの時間がかかるのか知りたい。
会社(法人)の破産を考えている経営者の方は、破産手続きがどう進むのか分からずとても不安だと思います。
このページでは、「破産手続の流れと手続が終結するまでの期間」についてご説明します。
破産手続は、破産法に基づいて、裁判所の手続の中で会社(法人)を清算する手続です。
次の流れ(1)~(6)で進行します。
- (1) 会社(法人)が破産状態(支払不能または債務超過)にあるとき、裁判所に破産手続開始の申立て(自己破産の申立て※)をします。
- (2) 裁判所が、その会社(法人)が破産状態にあると認めると、開始決定が出て、破産管財人が選任されます。
- (3) 破産手続の開始により会社(法人)は解散し、代表者は代表権を失います※。
- (4) 破産管財人は会社(法人)の全財産を換価して(すべて現金に換えて)、換価したお金から債権者に配当・弁済します。
- (5) 債権者への配当が終わると破産手続は終結し、その会社(法人)は完全に消滅します。
- (6) 会社(法人)が消滅するため、債権者に配当できなかった負債も消滅します。
※会社(法人)が自ら破産手続開始の申し立てる場合を「自己破産(の申立て)」といい、債権者が申し立てる場合を「債権者破産(の申立て)」といいます。
※代表者等の破産手続
会社(法人)が破産すると、多くの場合、会社(法人)の債務の保証人となっている代表者(経営者)やその親族もまた支払不能状態に陥ります。しかし、代表者やその親族は自動的に破産する訳ではありません。代表者やその親族は、会社(法人)とは別に自分の債務を整理する手続をとる必要があります。「個人の破産」を選択する場合は、「個人の破産手続」の申立てを行う必要があります。
森法律事務所は、ご依頼を頂いてから手続が終了するまで、丁寧で迅速な処理を心がけ、破産手続の申立代理人として経営者をサポートいたします。
ご依頼から会社(法人)の破産続きの終結まで、多くのケースでは8ヶ月から1年半かかります。裁判の有無や破産管財人による財産の換価状況等によって、終結までに要する時間は異なります。
※破産管財人が破産手続の中で否認権を行使すると、その分、終結までの期間が延びてしまうので注意が必要です。
01 平成30年度 司法統計より
全管財事件 申立てから事件終結までの期間
申立
半年
1年
半年までに終結
56%
1年までに終結
86%
半年まで | 1年まで | |
---|---|---|
配当事件 | 15% | 65% |
無配当事件 | 68% | 92% |
全管財事件 | 56% | 86% |
- ●こちらの数字は、会社(法人)だけでなく、個人の破産事件も含んでいます。
- ●無配当事件とは、開始決定後に破産管財人が調査した結果、破産者に配当する財産がないことが明らかになり、債権者に配当しないまま破産手続が終結した事件のことです。
- ●配当事件では、終結までに「1年超2年以内の期間」を要した事件が30%ありますが、会社(法人)の破産手続中も、代表者(経営者)は、自分の経済的再生の途を進むことが可能です。
02 破産手続の大まかな流れと終結までのおおよその期間
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1 当事務所へのご相談から破産申立まで
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当事務所へのご相談
会社(法人)の実情をつぶさに伺って、会社(法人)の現状を整理し、再建の可能性がないか、破産するしかないのかを判断します。
○正式受任
●経営者が破産手続をとることを決意されて、当事務所にご依頼を頂くことにより正式な受任となります。
●Xday(会社(法人)の事業を廃止し、その事実を従業員・債権者・取引先に通知する日)を決め、申立てに必要な準備を開始します。
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Xday
●債権者・取引先に受任通知を発送します。
●債権者・取引先にこのタイミングで受任通知を発送しない場合もあります。(申立てをした日に開始決定が出るなど、申立てから開始決定までの期間が極めて短いケースなど)
●裁判所に「破産手続開始の申立て前の事前相談」をすることもあります。
●会社の状況によりXdayから裁判所への破産手続開始の申立てまで、1ヶ月を超える場合もあります。
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裁判所に破産手続開始の申立て
●裁判所に必要書類を提出して破産手続開始の申立てをします。
●緊急性の高い事案の場合、必要な資料が揃えば2、3日~1週間で開始決定が出ることもあります。
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2 開始決定から手続終結まで(裁判所の手続)
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破産手続開始決定/破産管財人の選任
●破産手続開始決定により、会社(法人)は解散し、代表者は代表権を失い、その他の役員もその地位を失います。
●会社(法人)の財産の管理処分権限は、代表取締役から破産管財人※の手に移ります。
●債権者は、裁判所に自己の債権を届け出ます。
破産管財人によってその存在・金額が認められると、その債権は配当の対象になります。●税金は、開始決定前1年以内に発生したものであれば、「財団債権」として、一般の破産債権よりも優先して弁済されます。
●破産管財人は、会社(法人)の不動産、売掛金、預貯金、保険、貸金その他の財産を換価して(お金に換えて)、そこから法律が定める順番に従って債権者に弁済・配当を行います。ただし、抵当権等は破産手続の影響を受けないので、抵当権者などは、権利行使(競売等)が可能です。
●会社(法人)の代表者は、破産管財人に対して財産状況等について必要な説明をする義務があります。
●森法律事務所では、開始決定が出た後も弁護士が最後までしっかりサポートしていきます。
※ 破産管財人とは、主には、破産者(破産会社)の負債と財産を調査して、破産者の財産を換価して、換価したお金を原資として債権者に配当する業務を行う人です。
※ 破産管財人は、裁判所が、破産者(破産会社)・債権者・取引先と利害関係のない第三者を選任します。
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第1回 債権者集会
●破産管財人が、債権者に対して、負債と財産の状況等の報告をします。
●会社(法人)の代表者は裁判所から集会に出席するよう求められますが、弁護士が申立代理人として同席しますのでご心配無用です。
第2回~第○回 債権者集会
●第2回以降の債権者集会が開かれるか否かは、ケースによります。
●第2回以降が開催されるときは、通常は2~4ヶ月ごとに次回の集会期日が設定されます。
●会社(法人)の財産の換価作業が終了すると、その財産を原資として債権者への配当がなされます。
破産手続きの終結
●破産手続きの終結により、その会社(法人)は完全に消滅します。
●会社(法人)が消滅するため、債権者に配当できなかった負債も消滅します。
※ ご相談から破産申立については、「破産手続についてのご相談から破産手続開始決定まで」で詳しくご説明していますのでそちらをご覧ください。
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森法律事務所では、Xdayから2週間以内に裁判所に申立てをすること、そして申立て後2週間以内に裁判所に開始決定を出してもらうことを目指して、迅速で適切な処理を心がけています。
他の法律事務所の場合では、Xdayから3ヶ月後、半年後、酷い場合は1年後に破産申立がされることもあるようです。
また、申立てをしたものの、必要書類に不備があるために、なかなか裁判所の開始決定が出ないこともあるようです。
Xday後、開始決定までの時間が長くかかると、その分、債権者や取引先に大きな迷惑をかけます。
せっかく、会社(法人)に売掛金という財産があっても、開始決定までに長い時間がかかると、売掛先には「これだけ待たされたのだから、いまさら払いたくない。」という気持ちが芽生えます。
破産管財人が売掛金の回収に苦労し、ひいては、破産終結までの期間が延びかねません。
また、何よりも、社長ご自身やご家族も、開始決定が出るまでは、再建のための第一歩を踏み出すことができません。手続が終結してはじめて再生の途を本格的に歩いていけるのですから、破産手続が終結するまでの時間は短い方が良いのです。
森法律事務所は、Xday以後は、できるだけ早い申立てをすることと、裁判所にできるだけ早く開始決定を出してもらえるように入念な準備をすることを心がけています。